【現地レポート⑥】今大会は「チャレンジの場」– 赤穂姉妹らを輩出した名門・昭和学院
2023年1月5日
「2022年度 第 3 回全国 U15 バスケットボール選手権大会 (Jr.ウインターカップ2022-23)」の 2 日目、千葉県代表の昭和学院がコザ (沖縄) と対戦した。
試合は出だしから昭和学院が先行。堅いディフェンスと、インサイドとアウトサイドのバランスの取れたオフェンスを披露し、前半を終えて15点のリードを奪った。
しかし後半、#4 ウェア- ケイリ-ミアを中心としたコザの気迫あるプレーの前に劣勢となり、第 3 クォーター終盤には連続得点を許して一気に点差を詰められてしまう。だが、4 点リードで迎えた第 4 クォーターで #5 藤松柚乃が奮起。お返しとばかりに連続得点で流れを引き戻すと、その後も適時に 3 ポイントシュートを沈めて 66-56 で試合を制した。
昭和学院は藤松がチームハイの22得点。また、石井杏奈と玉井美宇を中心にリバウンドでも合計52本と、38本のコザより大きく上回ったことも勝因の一つとなった。
全国中学校大会で優勝経験のある昭和学院 (千葉) だが、意外にも「Jr.ウインターカップ」は初出場。2020年 3 月末に予定されていたプレ大会では出場を決めていたものの、新型コロナウイルス感染症の影響で大会は中止に。その後も、第 1 回、第 2 回大会ともに千葉県予選で敗れて出場はならなかったのだ。
指揮を執る一関智子ヘッドコーチは長きにわたりチームを指導してきた指揮官で、これまで寺田弥生子 (元ENEOSサンフラワーズ) や赤穂さくら・ひまわり (デンソー アイリス)、花島百香 (ENEOSサンフラワーズ) といった Wリーグや日本代表で活躍する選手を輩出してきた。
「どんなに大きくても、どんなに小さくても全員がゴールを向いてバスケットをする。走る習慣が身に付くのはジュニア期だと思うので、この時期に基本的な走る体力やケガをしない体作り、それと自身のケアのようなものを身に付けてもらいたい」(一関ヘッドコーチ) といった育成方針は、昔から変わらないという。
加えて、赤穂ひまわりのような大型オールラウンダーの素質がある選手でも、「いきなりアウトサイドでプレーさせるのではなく、ゴール下のパワープレーから少しずつアウトサイドのプレーをしていく」ようにしているとも語った。それには、「最終的には外から中へと攻めるわけで、アウトサイドの選手もインサイドが強くないといけない」という理由があるから。インサイドでの強さを身に付けてからアウトサイドでも活躍できる選手になってほしいという思いがある。
さらには、期待値の高い選手でも下級生の頃はプレータイムを細かく区切り、オーバーワークにならない配慮もしている。1 年生の時期から無理をさせることはなく、集中力を養うなどあらゆる面で、先を見据えて焦らずにじっくりと強化を図っているのだ。
先にも挙げたように、チームとしては初めてのJr.ウインターカップ。一関ヘッドコーチは、今大会を「チャレンジの場」とし、「選手自らのチャレンジ。相手うんぬんではなく、己の弱さと向き合いながら戦うことが大切」と言う。
3 回戦は J,sphere (愛知) と対戦することが決まった。前回大会でベスト 4 の相手だが、戦い方を大きく変えることはなく、取り組んできたことをコートにぶつける。