【現地レポート⑤】昨夏の悔しい経験を生かし見事な逆転劇を演じた仙台市立五橋中学校
2023年1月5日
一般的に中学時代は体 (身長) だけでなく心も大きく成長する時期だが、それはバスケットの心技体にも当てはまる。一つの大きな経験が、その後の技術向上、そして勝負強さにつながっていくのだ。
今大会、それを体現したのが仙台市立五橋中学校 (宮城)。2 回戦からの登場となった五橋中は、 HOOP4HOPE (千葉) と対戦。曽根敏幸コーチが「いつもゲームの入りが良くない」というように、前半で 15‐27 と12点のビハインドを負ってしまう。五橋中は昨夏の全国中学生大会にも出場しているが、そのときは「構えすぎて自分たちのリズムを作れませんでした」(曽根コーチ) と予選リーグで 2 敗し、決勝トーナメントに進めなかった。
そこで今回は「負けているゲームでも慌てないこと。とにかく自分たちを信じて最後まで戦い、ブザーが鳴ったときに 1 点勝っていればいい」と選手たちを落ち着かせていた曽根コーチ。コートに立つ選手たちもキャプテン #4 佐藤叶望が「全中では悔しい思いをしたので、その経験を生かして、負けていても我慢し続けることができました」と言うように苦しい時間帯を耐えていく。
すると少しずつリズムに乗れるようになったのが第 3 クォーター終盤。#18 三枝奈津美のジャンプシュート、#4 佐藤の 3 ポイントシュートで 28‐32 と迫っていく。それでも第 4 クォーターでは再び 7 点差を付けられるが、「苦しいときでも積極的に仲間に声掛けし、笑顔でプレーしていました」(#4 佐藤) とチームの雰囲気を良くしていたことが奏功し、#4 佐藤のドライブ、#9 佐藤楓菜のリング下で加点すると、残り 2 分 8 秒で #5 生田目さくらがジャンプショットを沈め 40‐41 と 1 点差に。
その後は約 1 分半の間、お互い無得点の緊迫する状況となったが、残り29.8秒で得たフリースローを #5 生田目がきっちり 2 本とも決め、とうとう逆転。終了間際には #9 佐藤が相手シュートをブロックするなどビッグプレーも飛び出し、五橋中が 43‐41 で勝利した。
終わってみれば、曽根コーチが「ブザーが鳴ったときに 1 点勝っていればいい」と言ったとおりの展開に。全中で負けた経験を存分に生かした逆転劇だった。