【現地レポート⑨】ここから始まるライバルストーリー ―― 相模女子大学中学校 vs. GOLDEN PHOENIX
2023年1月6日
日本の女子バスケットボール界はこれまで多くの名ポイントガードを輩出してきた。近年では町田瑠唯 (富士通 レッドウェーブ) や山本麻衣 (トヨタ自動車 アンテロープス) らがいて、先週閉幕したばかりのSoftBank ウインターカップ2022でも都野七海 (大阪薫英女学院高) や、2 年前の本大会第 1 回大会に出場した堀内桜花 (京都精華学園高) らがいた。森岡ほのか (札幌山の手高)のように、これから日本を代表するポイントガードに名乗りをあげるのではないかと期待の高まる選手もいる。そして今大会でも――
「2022年度 第 3 回全国 U15 バスケットボール選手権大会 (Jr.ウインターカップ2022-23)」の女子 3 回戦。相模女子大学中学校 (神奈川) と GOLDEN PHOENIX (長野) の一戦は、ポイントガードがキラリと光った。相模女子大中の #15 竹内みやと、GOLDEN PHOENIX の #11 牧田千紘である。
いずれもスキルレベルが高く、また視野も広いため、巧みなゲームコントロールができる。また得点力も高く、この試合では竹内が11得点・6 アシスト、牧田も 8 得点・8 アシストをあげている。第 4 クォーターまであえて 2 人をマッチアップさせなかったのは、よりよいディフェンダーをつけることで、相手チームのテンポを少しでも狂わせたいというチームの思惑からだろう。
「パスもしっかり通すことができましたし、相手のディフェンスをしっかり見ながらゲームコントロールができたので、よかったと思います」
竹内が 3 回戦の自身のプレーをそう振り返れば、牧田はこう言及する。
「昨年まではボール運びでミスをするなど、最後まで粘り切れないところがありました。でも今大会は最後まで走りきれて、ボール運びでもミスすることなくできたと思います」
32分間の試合を終えたとき、当然のことながら 2 人の間には勝敗が分かれているのだが、それでも 2 人はポイントガードとしての収穫をしっかりと得ている。
竹内は素早い状況判断から得点とアシストを使い分けられる河村勇輝 (横浜ビー・コルセアーズ) と、1 対 1 のスキルという面からカイリー・アービング選手 (ブルックリン・ネッツ)」を目標にしていると明かす。一方の牧田は「私はポイントガードなので、得点を取りながらも安定したゲームコントロールやみんなを活かせるパスの出せる選手になりたい」と言い、具体的な選手像として上述した京都精華学園高の堀内と、他ならぬ竹内の名をを挙げた。同世代のライバルとして対戦相手に注目していたわけだ。
もちろん彼女たち以外にも将来有望な若いポイントガードはいる。彼女たちもまだ中学 2 年生。しかも身長が159センチと、けっして現時点でサイズがあるとは言いきれない。これから身長が伸びて、ポジションをコンバートされる可能性だってあるだろう。
それでもなお、彼女たちが日本の「ポイントガードの系譜」に名を連ねる可能性は十分にあると言っていい。Jr.ウインターカップ2022-23 での軍配は 51-38 で竹内擁する相模女子大学中に上がったが、彼女たちのライバルストーリーも未来に向けたチャレンジも、まだまだ始まったばかりだ。