現地レポート

【現地レポート⑭ / 男子準決勝】いざ、学びのファイナルへ

2023年1月7日

 トーナメント形式の大会はよく「負ければ終わり」と表現される。裏を返せば、勝っていれば大会が続くのだが、勝者に与えられるものはけっして次の試合だけではない。彼ら、彼女らもまた、勝ちながら多くのことを学んでいる。しかも同じ年代でありながら、中学校、Bユースチーム、クラブチームといった、さまざまなカテゴリーが入り混じる大会であればこそ、より深い学びを得ることができている。

「2022年度 第 3 回全国 U15 バスケットボール選手権大会 (Jr.ウインターカップ2022-23)」の男子ファイナリストが横浜ビー・コルセアーズ U15 (神奈川・JBA 推薦)とライジングゼファーフクオカ U15
(福岡) に決まった。

 セミファイナルの第 1 試合を制した横浜ビー・コルセアーズ U15 のキャプテン、#11 佐藤凪は「昨日、苦しいゲームを 2 試合勝ち切って、勢いもあって、全員が勝ちたいという気持ちを持ち続けたことが、この結果につながりました」と試合を振り返る。

 もちろん気持ちだけで勝ち抜いたのではない。#11 佐藤はここまでの勝ち上がりについて、こうも言及している。
「自分たちはオフェンス力があるので、ディフェンスとリバウンドとルーズボールを頑張れば勝てるということは、ここまで戦ってきて気づけました」
 自分たちの長所を知るからこそ、足りないものを意識して戦ってきたことが、ここまでの結果につながったというわけだ。

 個人的にも意識していることはある。#11 佐藤は昨夏の全国中学校バスケットボール大会で 1 試合50得点を取ったスコアラーなのだが、それだけに「自分が得点を取りに来ることはどのチームもわかっているので、得点だけじゃなく、アシストや、自分が囮になって周りを活かすようなプレーもできるようになってきました」と夏からの成長に胸を張る。学び続ける姿勢がこの日の24得点・9 リバウンド・3 アシストに反映されていると言っていい。

 決勝戦に進むもう 1 チームは、セミファイナルの第 2 試合を逆転で制したライジングゼファーフクオカ U15。チームを率いる鶴我隆博ヘッドコーチは「今大会は 1 回戦から苦しい試合が続いていて、苦しい展開には慣れているんです」と苦笑交じりに振り返るが、それは選手たちも感じているところ。でも、だからこそ、学べることは大きい。ベンチスタートながら 3 ポイントシュート 2 本を含む10得点をあげた #27 進藤孝虎が言う。
「1 回戦、2 回戦と簡単なミスが多くて、なかなか自分たちのリズムでバスケットができていませんでしたが、試合を重ねるごとに団結力がより高まり、ディフェンスがよくなっていることが勝利につながっていると思います」
 チームの根幹をディフェンスに置くライジングゼファーフクオカ U15 だが、その意識を、勝ちながら、さらに高めているというわけだ。

 #27 進藤自身も 1 回戦の B.FORCE 愛媛 (愛媛)は 4 得点に終わり、悔しい思いをしていたと言う。 「動画で自分のプレーを見直して、少しずつよい感触に戻ってきているので、明日の決勝でも頑張りたいです」と、学びを成果につなげようとしている。

 明日は男女ともに Jr.ウインターカップ2022-23 を通して最後まで学び続けてきた 2 チームによる決勝戦となる。これまでの学びを最高の笑顔に変えるのはどちらのチームか。むろん Jr.ウインターカップを掲げられるのは男女各 1 チームしかない。しかし明日のファイナルもまた、彼ら彼女らにとって最高の学びの舞台になる。

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